これまでにも何度か紹介してまいりました日本大学文理学部地球科学科教授の安井真也先生(火山地質学)が進めておられるトレンチ堀削調査の本年第1回目(通算31回目)が嬬恋村のキャベツ畑が広がるエリアの一角で8月末に行われました。

約5mの深さまで掘られたトレンチ穴

トレンチ内部。6番の札がつけられた厚さ1.4mほどの地層は数ミリから数センチ径の軽石で埋め尽くされた軽石層。浅間山の北側にこれほどの厚みで浅間山噴火(恐らくは一万数千年前とのこと)の軽石が堆積していたとは驚きでした。

軽石層の下部には数ミリから1㎝程度の厚みで数十もの層が堆積した地層がありました。数ミリの厚みで噴火物が堆積しているということは、それぞれの層に対応する噴火が相当に大きな噴火であることを意味するそうです。そして写真で分かるように噴火時期により噴出物の成分が異なるため各層の色が様々異なっています。

様々な色の層の拡大写真、自然が作り出す美しさが感じられます。
トレンチ下部の層からは噴火により焼けた木のものと思われる炭が見つかりましたので、これから年代測定が行われるそうです。今回のトレンチでは深さ約5mまでの堀削でしたが、この範囲には大きな石などを含む火砕流の痕跡は皆無でした。次回は浅間山南側を調査する予定とのことです。